料理から学ぶ問題解決のアプローチ

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「料理」という言葉を詳細に見ると、言語由来辞典では次のように説明されています。「料」は「米」と「斗」が組み合わさったもので、「計る」という意味を持ちます。「理」は「整える」「管理する」といった意味合いを持ち、物事を適切に扱う、世話をするという意味の漢語です。
このことから、素材と道具を使い、論理的に進めて美味しく仕上げることが料理の本質であると言えます。

料理は、火、空気、水、油の4つの基本要素で構成され、これらを頂点とした四面体が全世界の料理の基本要素を形成します。どの国や地域にも様々な料理が存在し、それらはすべてこの四面体内に位置付けることが可能です。ポイントとなる要点を抑えておくことで、複雑な集合体も解明できます。
料理は感性が研ぎ澄まされた一部の才能ある人々によるものですが、視点を変えれば、その技術は一般人にも理解しやすい形で単純化できます。しかし、料理が簡単である、あるいは単純な作業であると言っているわけではありません。分析のため、料理において、火、空気、水、油の4点を見ることで、料理に関する知識が乏しい人でも複雑な料理の構造を理解することができます。

料理に限らず、問題を異なる角度から見ることで、解決策が見えてくることがあります。新しいアイデアや問題解決能力は成功には欠かせません。問題を解決するには、対象となる事象をまずしっかり分析する必要があります。分析とは、測定し整えることです。

例えば、営業成績が上がらないと嘆いている経営者は少なくありません。問題が営業成績の低迷である場合、その原因を明確にしない限り適切な解決策は見出せません。頭ごなしに叱っても問題はそのままでしょう。建設業で例を挙げれば、ダムやトンネル、橋を建設する際には、その地形や気候を正確に把握するための測量が不可欠です。スポーツにおいても、勝利を収めるためには相手チームの分析が重要です。
どの分野でも、物事を正確に測定する能力は極めて重要です。そして、その測定結果をもとに戦略を練ることが求められます。これが「整理する」という行為に他なりません。

料理人も、自覚しているかどうかは別として、四面体の枠組みの中で素材を測定し整理していると思います。セールスパーソンでも、エンジニアでも、アスリートでも、その分野で活躍している卓越した人は、当たって砕けろ的な考えではなく、まず直面する課題に対して測定し整理することで対処しています。困難に立ち向かうためには、この「測定し整理する」力を強化していくべきでしょう。

参考文献:料理の四面体