YouTube活用による営業リードタイム短縮

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ある建築会社のYouTube運営とリードタイムの関係についての面白い考察があります。
その会社は、一般消費者に向けて新築住宅を主力商品として営業活動を行なっています。新築住宅というと、多くの人にとっては一生に一度の買い物であり、誰しも慎重にならざるを得ないと思います。そもそもどこの住宅会社で建築するのか、あるいはどういった家なら自分たちの暮らしにマッチするのか、など検討すべきことは膨大にあります。

それだけ検討項目が多く、且つ高価な買い物であれば、検討開始から購入までに多くの時間を要するのは想像に難くありません。持ち家の形態は様々であり、マンションや分譲戸建住宅、あるいは賃貸も勿論一つの暮らしの手段です。一概には言えませんが、自分のライフスタイルに合った間取りやデザインを一から作っていくオーダーメードの注文住宅の場合、お客様と住宅会社の営業マンが出逢い、初めましてのご挨拶から引渡しまでに一年前後の時間を要することは珍しくありません。

売り手視点でドライな話をすると、商売の鉄則としては如何に早く商品を売り切ってしまうかが重要であり、時間をかければかけるほど自社に落ちる利益が少なくなってしまいます。要するに息の長い商売は儲かりにくいのです。収益性に関しては今回の話とは趣旨がズレてしまうのでまたの機会に解説します。

表題にもある通り、当該の建築会社はYouTubeを上手く使うことで営業時間が大幅に短縮できました。具体的には、初めましてのご挨拶から、この会社に決めますという設計申込までのリードタイムが約110日(186.5日「YouTube運用開始前」→70.9日「YouTube運用開始後」)短縮されました。

ここからはYouTubeが果たした機能について考察していきます。お客様が建築を依頼する際は、コスト、技術、間取りの自由度、性格の相性など、多岐にわたる検討要素があります。これらの要素は人によって優劣が異なります。これらの要素が及第点に達するか否かの判断は、一昔前であれば住宅総合展示場に足を運んで、直接会うことで決定していました。しかし、コロナショック以降はお客様が直接住宅会社が運営する展示場に行くことが少なくなり、代わりにWeb情報からある程度判断するようになってきました。
2014年4月、米調査会社Forrester ResearchのJames L. McQuivey博士の研究結果によると、1分間の動画から伝わる情報量は文字に換算すると180万語にのぼり、これは約3,600ページのWebページに相当するそうです。直接会って話す方が情報量は多いに決まってますが、なかなか直接会うことができなくなってきているのも事実です。

当該の建築会社は、YouTube(動画)を使ってできるだけ多くの情報を伝えることで、お客様に「この会社で新築しても良いかな」という及第点に近いところまで持っていくことができたのです。そうすることで、来店したお客様に対して自社の特徴を説明する時間が省かれたということです。YouTubeに限らず、動画は営業マンの作業の大部分を代替してくれていると言えそうです。
これだけリードタイムが短縮されれば、収益性も大幅に改善されたことは言うまでもないでしょう。