頭の使いどころは場所選びから

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ご存知の通り、地球上の動物の中で人間が他の動物と比べて圧倒的に優位に立てているのは、知能がずば抜けて高いからです。牙も爪もそこまで強くはないけれど、頭脳を駆使することで種としての頂点に立つことができたわけです。ということは、これからも頭を使うことで、より良くより幸せな方向に進んでいける可能性が高いと考えるのが自然でしょう。
ここでいう頭を使うとは、単に記憶力が優れているとか、知識量が豊富だという意味だけではありません。むしろ、頭の使い方が上手いと言い換えたほうが近いかもしれません。誰しも得意・不得意があります。しかし、自分の得意な領域に持ち込めるかどうか、つまり環境を整えられるかどうかが、結果に大きく影響します。

たとえば、ウサギとカメの競争。あまりにも使い古された例ですが、ここで注目したい教訓は「サボったら抜かれる」といった表面的な話ではありません。現実のビジネスにおいて、あからさまにサボって競合に追い抜かれる…という場面は、実はそれほど多くないものです。
むしろ、私たちが考えるべきは、カメがなぜウサギの得意な陸上戦を正面から受けてしまったのか、という点です。カメは別に、馬鹿正直にウサギと陸で勝負をする必要はなかったのです。もし水中戦だったら、ウサギは圧倒的に不利です。まあでも、カメもそんなに速く泳げるわけではないですが。要するに、勝てる土俵に持ち込むことこそが、本当に頭を使うということなのです。

このように環境や条件を変える、または変えるための交渉や仕掛けをする。そこに知恵を使うという価値があります。そして、一度頭を使ったらそれで終わりではないということ。工夫を継続し、磨き続けることにこそ意味があります。
人が最も輝く瞬間は、実は何かを成し遂げたときではないと聞きます。成し遂げる直前の瞬間こそ、人は猛烈なオーラを放つそうです。あまりに光りすぎて、隣の人が「ちょっとまぶしいんだけど…」と目を細めるくらいに。

一方で、すでに成し遂げてしまった人というのは、往々にして安心しふんぞり返ってそれ以上の努力をしなくなりがちです。でも、人生の主役は自分以外にいません。どう生きたいのか、どこへ向かいたいのかを決め、舵を握るのは自分自身です。
10代であれ、50代であれ、年齢は関係ありません。何かに挑戦し続けている人、つまり常に成し遂げる直前の状態にいる人は、あのオーラを何度でも放つことができるということです。そういう人は、連続的にその輝ける環境を自ら作っている人たちです。
いつになっても考えることを止めず、自分の得意なステージで挑戦し続ける。そんな生き方が、一番人間らしい知的活動なのではないでしょうか。