言い訳グセが、人を小さくする

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お金とはすなわち力です。では、なぜ人はその力(お金)を手に入れることができるのでしょうか。答えはシンプルです。そうなるような言動をしているから。これに尽きます。それ以外の理由は、どれも枝葉のようなものでしょう。とはいえ、人の行動特性はそう簡単には変えられません。行動が遅い人は、いつまで経っても遅いままです。早い人は、いつも早いものです。この特性を背負ったまま100年近く生きていくわけですから、両者の差は開き続ける一方です。

今回は投資にまつわる、シンプルだけど深い行動哲学について考えてみたいと思います。……といっても、これは投資に限った話ではありません。

私がサラリーマンとして勤務していたコンサル会社には、実に多種多様な特性やバックグラウンドを持った人たちが在籍していました。業務量は、一般的な会社と比べてもかなり多かったと思います。もちろん、世の中すべての業界を見たわけではありませんが、私がこれまで見てきた千社以上のクライアントと比較しても、トップクラスだったのは間違いないと断言できます。その職場では、常識では考えられないレベルのタスク量が、日々スタッフに降りかかってきます。中途採用者が多く、他業界でワーカホリックだったという肩書を引っ提げて入社してくるスタッフばかりです。しかも、雑務はほぼすべて外注化されていたため、スタッフに求められるのは、ほぼ知的労働だけです。重い荷物を運ぶようなことは一切ありませんが、肉体的にも精神的にもハードなのは間違いありません。

ただ、単にキツい職場だったわけではありません。短期間で圧倒的に成長できる環境でもありました。実際、他社の2倍の業務量をこなしていたので、その会社で5年働いた人は、一般企業での10年選手並みのスキルに到達していました。
業務量とスキルは比例する。このとき、私は素直にそう感じました。さて、少し前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

サラリーマンである以上、クライアント対応だけでなく、社内での間接業務もあります。しかし、クライアント向けのアウトプットに全力を注いでいると、どうしても社内業務は後回しになりがちです。そして、よくある言い訳がこれです。「いや〜、クライアント業務で忙殺されてて…」……ですが、これはやっぱりただの言い訳です。

実際、どれだけ忙殺されていても、社内業務もきっちりこなす人もいれば、言い訳ばかりする人もいます。あるとき、後者のタイプの人を追跡調査してみたところ、転職して業務量が減ったはずの環境でも、社内業務はやっぱりできていなかったようです。……習性って恐ろしいですね。転職先での本業がどうだったかは知りませんが、少なくとも忙しさは関係なかったようです。できる人は、忙しさを言い訳にしません。これは断言できます。

こうした経験から、私は冒頭で述べた結論に至りました。人の特性は、そう簡単には変わらない。この話は、投資にもそのまま当てはまります。たとえば、デイトレードで成果を出し続けられる人間は、そうなるような行動と思考パターンを習得しているということです。共通するのは、行動に移すスピードが早いということでしょうか。

あなた自身はいかがでしょうか?そのうち何とかなると自分をごまかしながら、惰性で仕事を続けてはいないでしょうか。そんな人は、自分が大成しないことを、実は一番よく分かっているのではないでしょうか。自分なりには頑張っていると思っていても、目標とする人物の行動・思考パターンと比べてみると、全然足りていないなんてこと、よくある話です。一人の力で日経平均を動かせるような力を持った人間は、そうなるだけの行動と思考の型を持っています。しつこいようですが、特性を変えるのは簡単ではありません。……が、不可能でもありません。

まずは、自分をだますのをやめること。そして、これを機に考え方を変えていこうと静かに決断することです。結局、すべては自分次第です。成功するかどうかは、実は自分が一番よく分かっているものです。

参考文献:一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学