競争の中にある進化
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恋愛やパートナーシップについては、人それぞれ悩みがあるものです。中には特に不満もなく、むしろさらに関係に磨きをかけたいと考える方もいるでしょう。とはいえ、なかなか人前で口に出しにくいテーマであることは確かです。経験値の多少も人それぞれですし、仮に経験豊富であっても結局は一人分のデータにすぎません。では、多くの人の経験を抽象化し、科学的なデータに基づいて見た人間関係や心理の知見はどうなのでしょうか。自分では正しいと思ってきたやり方が、実はそうでもなかった──そんなことも往々にしてあるはずです。この手のテーマはオープンに語られにくい分、偏見や思い込みに支配されやすい領域でもあります。アインシュタインの言葉を借りれば、「常識とは偏見のコレクション」なのです。
だからこそ、客観的なデータや心理学の視点を基に、自分の今後の関係性戦略を練ることには十分な価値があります。人と人との営みである以上、心理学が突破口を開く可能性は高いのです。
結局、人は動物です。本能のままに生きた方が幸福度は高い──これは心理学や進化学でも裏付けられている事実です。もちろん、一部の修行僧のように欲求を断ち切って生きる生き方もあります。しかし、多くの人にとっては、諦めて市場から降りてしまうことは、自分の成長機会を放棄することに近いのではないでしょうか。
特に男性の場合、妙に肩ひじを張って努力を避けるのはもったいない話です。なぜなら、人間的な魅力は磨かれなくなれば退化していくからです。本能に従えば、異性に関心を持つのは自然なことです。それを自分は一人でいいと理屈で押し殺すのは、動物的特性を否定するのと同じです。
恋愛市場から降りるということは、人間としての成長を放棄することに等しい行動です。生物の歴史を振り返れば、生命進化の源は次代に選ばれるための努力でした。オスがメスに自らの資質をアピールし、選ばれた者だけが次世代に遺伝子を残すことができたわけです。これは何億年も繰り返されてきた厳しい競争の歴史です。言い換えれば、努力をしない=ゲームオーバーということです。極めてシンプルなルールです。
いつの時代も、成長は競争の中で培われてきました。競争がなければ成長はありません。以前、仕事でとある離島を訪れたことがあります。そこでは競争という概念が薄く、誰もが負けないようにバランスを取りながら仲良く暮らしていました。それはそれで一つの幸せの形かもしれません。しかし、もしそこに外部から鍛え抜かれた強烈な競合が現れたら──果たして勝負になるでしょうか。競争にさらされれば、戦略を練るか諦めて譲るかの二択になります。ただし、諦めるということは、すなわち成長を止めることと同意です。経営でも恋愛でも、この真理は同じだと思います。
重要なのは、競争に勝つことそのものではなく、その過程で自分が成長することです。恋愛市場における心理戦も、企業経営における戦略競争も、根本は同じです。「どうすれば自分をより良くできるか」という問いを持ち続ける姿勢。これが自己成長につながります。逆に、その問いを投げ出してしまえば、理想の未来はやって来ないでしょう。
パートナーとの関係性を深めるために必要な心配りや駆け引き。そのドラマの中に、人間としての成長の土壌があります。経営者にとっても同じことです。市場という舞台で競い合い、相手の心理を読み、戦略を練る。その繰り返しの中で、人も企業も強くなっていくと思います。