無駄な戦いは、略していい。
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人は放っておくと、どうしても楽な方へ流れていきます。ある日、AVに出演する女優19人のインタビューをまとめた本を見つけ、興味本位で手に取りました。別にAV業界に限らずどんな世界でも同じだと思うのですが、「安易な考えで楽に何か(お金など)を手に入れよう」とすると、大抵の場合は足元をすくわれるものです。そして、ほぼ確実に良からぬ結果を招きます。世の中に、簡単な成功などそうそうありません。資本主義社会である以上、どんな分野にも競争原理が働きます。戦略もなく、なんとなく動いても勝てません。生まれながらの天才でもない限り、勝率は極めて低いでしょう。
「〇〇なら稼げる」「これなら勝てる」という「なら」には、たいてい根拠がありません。そうした無駄な戦いに時間を費やすうちに、せっかく授かった一度の人生は、あっという間に燃え尽きてしまいます。
19人の告白からは、その教訓が痛いほど伝わってきます。無駄な戦いを避けること、それ自体が戦略の一つなのです。「戦いを略す」と書いて戦略。もちろん、単に戦いを避けることがイコール戦略というわけではありませんが、略には「はかりごと」という意味もあります。では、どうすれば無駄な戦いを略せるのでしょうか。
まず考えられるのは、敵との遭遇が少ない環境に身を置くことでしょう。ここで言う敵とは、人だけではありません。目標達成を阻むものすべてを指します。たとえば、ダイエット中のスイーツ。これも立派な敵です。そういう意味では、人間の欲望そのものが最大の敵と言えるかもしれません。冒頭に戻りますが、人という生き物は本能的に易きに流れるようにできています。安易な考えもまた敵です。これらの敵との遭遇をどれだけ避けられるかで、目標達成の確率は劇的に変わります。
まだ若く、家族に支えられているうちは、自分の力だけで環境を整えるのは難しいかもしれません。ときには、逃げきれないほどの強敵と対峙することもあるでしょう。そのときは、頭を使って逃げ切る策を講じるか、戦って勝つしかありません。19人の女優の中にも、戦いに勝って高みを目指す強かさを持った人がいました。一方で、今まさに強敵と対峙し、一進一退の攻防を続けている人もいます。泣いても笑っても、人生は一度きりです。他責にして腐っていてはもったいない。どんな環境でも、配られたカードで勝負するしかないのです。
本当は、嫌なことや理不尽なことがあっても、腐っている暇などないはずです。むしろ、どう考えても勝ち目がないような状況からの逆転劇こそ、後の財産になります。人を惹きつける力は、華やかな成功ではなく、泥臭い逆境から生まれるものだと思うからです。過去の偉人たちもそれを証明してくれています。だから、まだ手遅れではありません。もし今、苦しい状況にいるなら、もう一度仕切り直せばいいだけです。もし、強敵に打ち負かされて腐りかけている人がいるなら、ほんの少しでも支えになれば幸いです。
もし、今強敵と思える存在と向き合っているなら、易きに流れず、戦略を持って挑んでほしいと思います。もちろん、戦略を立てることがゴールではありません。それを実行し、敵を打ち倒すことこそが勝利です。武運を祈っています。

参考文献:ハタチになったら死のうと思ってた