気合では成果は出せない
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「やろうと思っても、なかなかできない」。その行動が後回しになっているとすれば、意思が弱いのではなく、すぐやれる環境に自分を置いていないだけかもしれません。
話は変わりますが、読書自体は楽しいものです。スキマ時間を使って本に没頭できる人も多いでしょう。そして読書の醍醐味は、読んだ内容を行動に結びつけたときに、一層深みを持つという点にあります。言うまでもなく、読書=インプットであり、それだけで終わってしまえば、せっかくの知識も宝の持ち腐れです。やはり行動してこそ自分の血肉になります。ただし、「よっしゃ、やったるぞ!」と気合いを入れても、大抵の場合は三日坊主の道をたどるものです。そうではなく、行動せざるを得ないような環境を作ってしまう方が、よほど現実的です。
不思議なもので、インプットをひたすら続けていくとあるとき自然にアウトプットが生まれます。まるで呼吸のように──吸いすぎれば、今度は吐きたくなるのです。私も、行動に移すきっかけは、ある1冊の本の中の1フレーズだったりします。別に最初から変わってやると意気込んでいたわけではなく、インプットを続けていたら、ある日突然手と足が勝手に動くようになった。そんな感覚に近いです。
読書によるインプットは、水を注ぐようなものだと思います。コップが一杯になれば、自然と溢れてきます──それがアウトプットです。だから行動できないと悩んでいるときは、無理に自分を奮い立たせようとせず、とにかく良質な情報を吸収し続けるだけで十分です。いずれ溢れ出すときが来ます。
行動を阻む最大の敵は、意思の弱さ…ではなく、意思に期待しすぎることです。アウトプットの手法は世に多く存在しますが、すべてをマスターする必要はありません。自分に合ったものを一つ見つけて、習慣化すれば十分です。その際に自分の意志の力でやろうと思ってしまうと、ほぼ間違いなく失敗します。…少なくとも私はそうでした。
「明日は早く起きよう」と意気込んだ夜ほど、なぜかアラームのスヌーズボタンに優しくなる朝がやってきます(なぜでしょうね、本当に)。この手の失敗に関しては、数え切れません。意思は当てにせず、環境で自分を制御すべきなのです。
たとえば私の場合、自宅には小さなゴミ箱を一つしか置いていません。なぜか?理由はシンプルです。ゴミが少し溜まった時点で、すぐに1階のゴミ置き場に持っていけるようにするためです。しかも24時間ゴミ出し可。つまり、大きなゴミ箱で溜めてから出そうという甘えがそもそも成立しない仕組みです。意志の力ではなく、これ以上入らないから行くしかないのです。つまり、環境によって行動を誘導しているだけです。
本を読むときも同じです。1冊を全部読み切る必要はありません。「これは」と思える気づきを得た瞬間に、いったん本を閉じて行動すれば良いのです。最後まで読まないと落ち着かないという方もいるかもしれません。その場合は、気づきのタイミングでいったん行動→また戻って読むという流れを自分なりにデザインすればよいだけのことです。
大事なのは、どうやって自分を動かすかを意志の力に任せず、環境と仕組みで動かせる状態にしておくことです。自分の気分やテンションを信用しない。これは経営判断にも通じる重要な思考だと感じます。
経営者や幹部は、自らを律して動くことが求められる立場ですが、だからこそ意思の力に頼らない環境設計が必要です。読書も、行動も、改善も──気合いでは続きません。動かざるを得ない仕組みを、いかに上手く設計するか。そこに、変化を生み出す本当の戦略があると思います。