時間という資産管理
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時間投資について気づいたことを書いてみたいと思います。時間投資とは、時間もお金と同じ一つの資源と捉えることです。お金の場合は、銀行に預けておくだけではあまり意味がないので、株や債券に替えておきます。お金という資源をどこに配分するか(投資するか)という話です。時間の場合も同様で、要は時間配分のことです。人一人の時間資源は誰だろうと同じです。お金と違って、相続によるスタートラインの差が生じることもありません。
参考になった物語がありますが、あらすじは時間に関するものではありません。しかし、世知辛い世の中を生き抜くうえでの別な側面もありました。
ここからの内容は参考文献として上げた物語のネタバレになります。物語りの舞台は、アフリカ大陸アルジェリア、オラン市。ペストによる感染症拡大を食い止めるために閉鎖された街で、人がどのように振る舞い何を感じるのか、人を理解するうえで興味深い内容です。特に、主人公である医師リウーの深い洞察は、人の世をどう渡り歩いていくのかのヒントを与えてくれます。
歴史上起こったペストの数は、戦争の数と同じくらい多いのに、オラン市の人は何の対策もしてこなかったという印象的なセリフがあります。人の性というべきものか、分かってはいてもなかなか行動に移すのは難しいものなのでしょう。日々やるべきことに忙殺されるあまり、「急ぎ×重要」なことのみを処理するのに精一杯です。その結果、「急ぎではない×重要」に割く時間はほぼ残されていない状態の人が多いことでしょう。皆分かってはいると思いますが、「急ぎ×重要」なことは、4つの支出(消費、浪費、空費、投資)のうちの消費にあたります。
皆平等に与えられた、限りある24時間を如何に「急ぎではない×重要」な投資に回せるかで、その後の人生は大きく変わります。急ぎかどうかさておき、将来的に重要な課題がなくなってしまい、どれも些細なことのように感じ、現状に100%満足してしまったとします。例えば、明日食べるものがない人にとっては、食物の確保が最重要課題ですし、上司に認められたい人にとっては、出世に響く明日のプレゼンテーションが最重要課題です。これら課題がなくなり、何の望みもなくなった状態です。その時点でその人の人生はすごろくでいうところの「アガリ」です。それ以上の成長はなく、老いていくだけです。より良くを目指すのであれば、現状を変える以外に方法はありません。「決意を新たに頑張ります」と意気込んでいる人をたくさん見ますが、はっきり言って人は決意を新たにしたくらいでは変われないと思います。変わるためには、付き合う人を変えるか、住む場所を変えるか、時間配分を変えるか、とよく言われます。現在会社勤めの人は、付き合う人を変えるのは容易ではありません。マイホームを購入している人は、住む場所を変えるのは容易ではないでしょう。しかし、時間配分だけは、誰にでも自分一人で今からでも変えられます。
他人や外部環境に踊らされて嘆いている時間はありません。どんな状況だろうと配られたカードで勝負するしかないのです。休日昼までゴロゴロするのもたまには悪くありませんが、日曜午後の3時間だけは自己研鑽のための時間に投資してみてはどうでしょうか。
参考文献:ペスト