時給ゼロ円の時間の使い方をしていませんか
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辞書によれば、イノベーションとは「新機軸。革新。新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、経済発展や景気循環がもたらされるとする概念」と紹介されています。要するに、新しくアップデートすることです。変化のないところに進化はありません。当たり前の話ですが、毎日ただ漫然と過ごしながら「いつかビッグになる」と息巻いても、残念ながらほぼ間違いなく何も変わりません。いきなり大きく変わるのは難しいです。だからこそ、まずは目の前の言動を変えるところからしか始まらないのです。
人が変わるには、1.時間配分を変える、2.住む場所を変える、3.付き合う人を変える──この3つしかありません。どれも1.の時間の使い方に帰結します。極端に言えば、人生とは90年弱の持ち時間をどう配分するかに尽きるのです。
限られた時間を何に使うか。ここにイノベーションのプロセスが宿ります。仮に私が喫煙者だとして、毎日同じ時間に同じ喫煙所へ通い、そこに集まる自分から見てどうにも冴えない顔ぶれを眺めているとしましょう(もちろん喫煙者全員がそうだと言うつもりはありません)。その場が、場末の常連客がなんとなく集まっているような空気感であるなら──そこから社会を変えるような人材が輩出されるかどうか、想像してみてください。同じ行動パターンに縛られている時点で、発想や行動も同じレベルに収束してしまうのです。
宝くじが当たるように、突然ひらめきが降ってきて世の中を変える仕組みが生まれることはありません。歴史に名を残す偉人たちも、日々考え抜いた末に、ふとした息抜きの瞬間にアイデアがひらめいた──それが定番のパターンです。息抜きばかり真似しても何も生まれません(残念ながらコーヒーを飲めば誰でもエジソンにはなれません)。大事なのは、そこに至るまでのプロセスを真似することです。
人間は環境に強く影響されます。普段一緒にいる人と似てくるのは当然のことです。だからこそ、私は長らくマスメディアから距離を置いています。新聞は取っていませんし、テレビも10年以上前に手放しました。なぜか。マスメディアの多くは危機感を煽るネガティブ情報で構成されているからです。「○○しなければ××になる」という脅し型の動機づけは確かに強力で、人を動かします。逆に「○○になりたいから××をする」という前向き型は動機としては弱いです。従って、メディアは必然的にネガティブ情報に傾きます。
しかし、質の悪い情報を大量に浴びていては、自分をアップデートするどころか、逆に劣化しかねません。何をインプットするかで、アウトプットの質は決まります。だからこそ私は意図的にシャットアウトしています。とは言え世の中の動きを知っておく必要はあるので、ネットニュースを見るのは午後12時を回ってからと決めています。朝にネガティブな思考になりたくないというのが理由です。
皆が同じテレビ番組を見て面白いと言っているから自分も見る──その瞬間、あなたも皆と同じになります。つまり、時間の使い方があなた自身を形づくるのです。イノベーションを起こすには、「ならなければならない」という強い危機感と、自分の理想像に照らし合わせた時間配分の設計が不可欠です。結局、時間をどう使うかにしか答えはありません。