我流は続かない。真似は続く。

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自分自身を奮い立たせたいのなら、いくら気合いを入れたところで無意味だと思います。「明日からやるぞ!」と意気込んでみたところで、多くの場合はむなしい徒労に終わるのがオチです。では、気合い以外に何が必要なのでしょうか。やはり、習慣を持っているかどうかだと思います。意志の強さを当てにしてはならない、ということです。人間の意思ほど信用できないものはない、と私は感じています。

年末が近づいてきました。年末の次は、すぐ年明けです。年始になると、多くの人が「今年こそは」と自分を変えようと決意します。しかし、決意を新たにすることほど無駄なことはないと、大前研一さんも言っています。もし、決意しただけで目標が達成できるのであれば、今頃この世は成功者で溢れかえっているはずです。自己流の気合いではなく、うまくいっている人が何をやっているのかを観察し、真似ることです。これが、最も再現性の高い方法だと思います。

もし、よほど強靭なメンタル力を持っているのであれば、気合い一本で勝負してみるのも一つでしょう。すぐやる人、目標を達成する人、理想を実現していく人と、そうでない人との違いは、習慣にあります。目標を達成できる人は、そうなる習慣を持っています。達成できない人は、達成できない習慣にどっぷり浸かっています。一時的に気合いを入れて最大瞬間風速だけ高くなり、うまくいった風に見えることはあります。しかし、長続きすることはありません。気合いは、そんなに長く持たないからです。もちろん、世の中には鋼のメンタルを持った少数精鋭もいます。雨の日も風の日も、体調が悪くても、メンタル一本で突き進める人です。もし自分がそのタイプだと思うなら、そのやり方を試してみればいいでしょう。ただし、やり方を間違えると、これもまた徒労に終わる確率も高いです。気合い型は、成功すれば派手ですが、失敗すると消耗も激しいのです。

長く成果が出ないのは、気合いが足りないからではありません。やり方が間違っているからです。メンタル力に自信がなくても、仕組化してしまえばどうにかなることは意外と多いものです。すぐやれる人は、すぐやれる環境に身を置いています。そして、すぐやれる習慣がインストールされています。本気で自分を変えたいのであれば、「頑張る」という行為は、金輪際やめた方がいい。――これは私の偏見でしょうか。ただ、正直に言って「この道、苦節何十年」という人を、幸せそうだと感じたことはあまりありません。その人が、気合いと根性であと数十年頑張ったところで、成功する確率は限りなくゼロに近いのではないか。そう思ってしまいます。まずは、やり方が間違っていることに気づくことからがスタートです。

ビジネス書を読んだだけで終わるのは、あまりにも勿体ないです。本は、行動に落とし込んで初めて効力を発揮します。つまり、行動することでしか道は拓かれません。その際、行動レベルは理想とする人を徹底的に真似るのが近道です。「そこまでやらなきゃいけないのか」と尻込みするなら、それは本当は、そこまで変わりたいと思っていなかったということです。どうしても変わりたいのであれば、それくらいの行動は、自然と実行に移せるはずです。すべてをやろうとしなくても、自分にしっくりきたものを一つで十分です。自転車と同じで、こぎ始めが一番しんどく、スピードに乗れば少ない力で大きく前に進めるはずです。一見、意味がなさそうな行動や思考でも、いつかそれらが線で結ばれる瞬間が来ます。だからまずは、真似してやってみることです。それが、変わるための一番確実な第一歩ではないかと思います。