場数がすべてを変える
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数で勝負する、実践の場数がすべてを変えると思っています。ノウハウを身につけただけで満足してしまう人は、世の中に意外と多いものです。しかし残念ながら、そういう人が成功することはまずありません。ノウハウとは使うための武器であって、飾っておくための置物ではないからです。しかも、ノウハウには、正しい使い方があります。間違った使い方をすれば、ピストルに弾を込めて撃つのではなく、ピストルそのものを投げてぶつける──そんな冗談のような結果にもなりかねません。そうならないためにも、そしてノウハウを自分のものにするためにも、何より重要なのは場数です。
場数、すなわち圧倒的な量が質をつくります。どんな分野のプロも、試した数・実践した数が圧倒的に多いものです。量の蓄積が、結果として質を生み出します。
たとえば、人間関係のスキルを磨く話に置き換えてみましょう。異性を口説くスキルを身につけること自体は大いに結構なことです。しかし、それを頭の中にしまっておくだけでは意味がありません。実践の中で微修正を重ね、自分に合うスタイルを見つけて初めて血肉となります。実際、その道のプロと呼ばれる人の中には、8年間で1,800人にアプローチした猛者もいるそうです。単純計算で年間220人以上です。ここまでくると、もはや努力というより執念です。しかし、こうした例が示すのは量に勝るものはないという単純な真理です。量は、誰が見ても分かる客観的な数値です。一方で質は、見る人によって評価が分かれます。質を高めたいなら、よほどの天才でもない限り、まずは圧倒的な量をこなす以外にありません。
方程式はシンプルです。恋愛における成果を数式で表すなら、こうなります。
成果 = 出会いの数 × 成功率
この方程式は、実はビジネスにもそのまま当てはまります。「出会いの数」を「商談数」に、「成功率」を「成約率」に置き換えればいいだけです。営業でも採用でも、あるいはマーケティングでも同じです。いくら成功率が高くても、そもそも出会いがゼロなら結果もゼロです。だからこそ、普通の人は出会いの数を増やす=場数を踏む必要があるのです。
効率的に数をこなすなら投下コストを意識するべきです。かつては合コンが代表的な新規の出会いの場でした。学校、職場、友人の紹介、はたまた街ぐるみで開催される大規模なものまであります。ただし、1回の合コンで出会える人数は街コンを除けばせいぜい3〜4人程度でしょう。しかも、タイプの人がいなければその日の試合は即終了です。半日が無駄になります。当時の私を含め、多くの人が事前に相手方の写真をチェックしたりして、少しでも無駄打ちを減らそうと必死でした(今思えば、なかなか面倒な努力です)。
しかし、時代は変わりました。今ではマッチングアプリを使えば、わずか数分で何十人とも同時並行でつながることができます。もちろん、対面に比べれば案件の質や濃度(=関係の深さ)は薄くなりますが、数をこなすという点では圧倒的に生産的です。
重要なのは、得られた結果を感覚でなく数字で管理することです。たとえば、毎週3人と出会えば、半年で約72人に会う計算になります(1か月を4週と仮定し、4週×3人×6か月)。これを続けるだけで、誰でも経験値を積み上げることができます。器用な人であれば、その中から複数の良縁(または案件)につながるかもしれません。街で声をかけるより、オンライン上でやり取りする方が心理的ハードルも低いでしょう。だからこそまずは、数=量を意識することが出発点です。そして、結果を数値化すれば、自分の成功率が見えてきます。先ほどの方程式に当てはめれば、あと何人に会えば目標達成できるかが明確になるのです。
数をこなす者だけが、質を語る資格を持ちます。実践を避けてノウハウコレクターになってはいけません。ピストルを投げてぶつけているような営業にならないよう、まずはしっかり弾を込めて、撃つ。数を撃つうちに、狙いは自然と定まってくるものです。