古今東西、変わらぬ仕事のルール
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電通「鬼十則」をご存じでしょうか。かつて「広告の鬼」と称された電通の4代目社長、吉田秀雄氏による訓示です。以下がその内容です。
1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4. 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
仕事の環境は、日々目まぐるしく変わっていますが、72年前に書かれたこの「鬼十則」は、現代社会においてもビジネスのバイブルとして通用すると感じます。米国のGE社など多くの国際企業で、この「鬼十則」が多言語に翻訳され使用されていると聞きます。特に驚くべきは、吉田社長がこれを昭和26年(1951年)に電通社員向けに記したことです。
仕事における求められるスキルや働き方は時代と共に変わります。一方、仕事に限らず永遠の真理も確かに存在します。
例えば、第5則の“目的完遂までやり遂げろ”は、多くの人の共感を呼ぶでしょう。ダイエット、早寝早起き、禁煙、禁酒など、3日坊主で終わったことの一つや二つは誰しも心あたりがあるものです。継続は難しく、新しい挑戦を始めても困難に直面すると途中で断念することがしばしばです。
ビジネスにおいて勝てない土俵でいつまでも無謀な勝負をし続けるのは博打でしかありませんが、これならいけそうと思う分野での挑戦には価値があります。計画をしっかりと立て(第7則)、タスクを細分化し、小さな達成を積み重ねることで自信が生まれ(第8則)、大きな目標達成(第3則)へと繋がっていくのです。
参考文献:電通「鬼十則」