利他は、行動して初めて意味を持つ
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今回は本の紹介です。
恥ずかしながら、チェ・ゲバラ氏という人物について、私が知っていたのは「たばこの銘柄にあったような気がする」という程度でした。正直なところ、有名な人なのだろうくらいの認識です。本を読むまでは、人物像をネットで調べることもありませんでした。ただ、どんな人なのだろうかという、ぼんやりとした興味だけはありました。
そんなわけで、本書は書店でたまたま見かけ、そのままレジに持って行ったというのが正確なところです。
著者のフィデル・カストロ氏は、元キューバ首相であり、チェ・ゲバラ氏とは革命のために共に闘った同志とのことです。ここでは、それぞれの思想の是非について語るつもりはありません。今回触れたいのは、あくまでその生き様です。
私心は組織をダメにします。
人間、誰しも自分が可愛いものです。生命体の遺伝子は基本的に利己的に振る舞うようにできています。とはいえ、まれに私心をほとんど持たず、徹底した利他精神を貫く人もいます。目に余る私利私欲を持つリーダーがいる組織は、例外なく腐っていきます。経営の世界では、パナソニック創業者の松下幸之助氏も「会社をダメにするのは、経営者自身の私心である」と述べています。人は権力を手にすると、それを自分のために使いたくなるもののようです。多少の私心は人間らしさでもありますが、度が過ぎると話は別です。
チェ・ゲバラ氏はアルゼンチン生まれだそうです。何の因果か、2025年12月30日現在、私もアルゼンチンにいます(だからどうした?)。それはさておき、チェ・ゲバラ氏は、自らの生まれ故郷ではないキューバのために生涯を捧げたとされています。まさに徹底した利他主義です。やり方や思想の正誤については、一旦横に置いておきましょう。自分が考える全体最適のために、全力を尽くすという生き様そのものは、学ぶべき点が多いのではないかと思います。
仮に、自分に成し遂げたいプロジェクトがあるとします。「こうしたら、もっと良くなるのに」という考えを持っているなら、口だけで終わらせず実行に移すことです。行動からしか結果は生まれませんし、結果を見なければ改善のしようもありません。不屈の精神を持つことは大切ですが、いきなり大きな一歩を踏み出すのは難しいこともあります。まずは小さなことで構いません。自分の要望をきちんと相手に伝えることから始めてみましょう。
例えば、ランチに入った定食屋で周囲に合わせて無難に同じメニューを頼むのではなく、「○○でお願いします」と素直に言ってみる。たったそれだけのことですが、要望を通すという行為に慣れる良い練習になります。
もちろん、人に迷惑をかける要望は論外です。全体最適を目指していたはずが、いつの間にか私利私欲にまみれていては本末転倒です。もっとも、ランチの注文で人に迷惑をかけるケースは、そうそうないでしょうから安心してください。
せっかくの良い考えも、発信しなければ存在しないのと同じです。さらに言えば、行動に移さなければ、それはただの絵に描いた餅です。そして、一度行動しただけで終えてしまうのは、あまりにも勿体ないです。トライ&エラーを繰り返しながら、少しずつ研ぎ澄ましていく。その積み重ねが、考えを現実のものに変えていきます。私心を抑え、全体最適を考え、行動を積み重ねる。派手さはありませんが、こうした姿勢こそが、結果として大きな差を生むのではないでしょうか。

参考文献:チェ・ゲバラの記憶