ビジネスも見た目で決まる
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人は見た目で判断されます。ビジネスとして進化してきたファッション業界の歴史を例にとります。
服などのファッション用品を売るための季節ごとのイメージ施策が、19世紀の中頃からフランスのパリで始まったとされています。この仕掛けは、現在に至るまで実に200年近くも使われ続けている戦略です。
10年以上前になりますが、初めてパリを訪れた際に感じたのは、街行く人ももちろん、パリの街全体がファッショナブルに映ったことです。身だしなみに気をつけることは、自分をより良く見せる手段でもあります。一方で、これは会う人、見る人へのマナーでもあります。TPOに応じたファッションをするのは当たり前です。適切でないファッションは、もはやファッションとは呼べません。私自身も、ファッションセンスが著しく欠けているため、センスのある人からアドバイスを求めるようにしています。
身なりの気遣いは、相手に対する気遣いです。「人を見た目で判断してはいけない」と小さいころに教えられました。当時は、人の内面が見た目よりも重要だからだと解釈していました。しかし、今になって気づいたのは、その教えの真意は異なるものでした。見た目だけで判断してはいけないのは、見た目で人の全てを推し量ることが可能だからこそ、注意が必要だということでした。TPOに適したファッションができない人は、相手に対する気配りができていないと見なされます。
プロジェクトの成功も大いに身なりに左右されます。ビジネスシーンでは、見た目が悪いとそのまま能力も低いと見なされがちです。好印象を与える人と比べられます。例えばコンペなどでは、見た目が悪いとその分不利な状態からスタートすることなあります。どれだけ素晴らしいプレゼンを行なっても、見た目が不快感を与える場合、そのイメージを企画の中身で払拭するのは容易ではありません。奇抜でTPOにそぐわないファッションでプレゼンもいまいちなら、企画を通すことはほぼ不可能でしょう。
お店で買い物をしている時、商品説明を求めて店員を呼ぶ際も、無意識に見た目で選んでいます。視覚的な印象が良いことは、それだけで大きなアドバンテージになります。顧問先でも、お客様の前に立つ営業メンバーの服装には特に注意を払うよう気をつけてもらっています。
ファッションブランドショップは、見た目の印象に大きく左右される典型です。もちろん店舗の立地も影響しますが、商品やスタッフのファッション性が及第点を超えていることが重要です。例えば駅前一丁目一番地の好立地であっても、魅力のない商品は売れません。ファッションの追求が200年近くも続いているのには、その理由があります。見た目の印象が人にとって大きな関心事であるということです。
参考文献:パリ・コレクション モードの生成・モードの費消