バズっても、生き残れるのは“良い商品”だけ
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前回、Xについての話をしました。世の中にはさまざまなSNSがあり、それぞれに良さがあり、使用目的や用途も異なります。Xはあくまで、コミュニケーションのためのツールです。不可能ではありませんが、基本的には商いには不向きでした。
今回はその一方で、「商い」に焦点を当てた話になります。
結論を先に申し上げておくと、優れた商品は売れますし、そうでない商品は売れません。SNSだから売れるというわけではありません。お金を払ってまで買う価値のない商品は、リアル店舗であろうとSNS上であろうと売れないというだけの話です。
欲しくないものは、やはり欲しくないのです。もちろん、マーケティングがうまくいって一時的に売れることはあるかもしれません。しかし、それは長くは続かないでしょう。ユーザーの目は厳しく、すぐに“化けの皮”は剥がされます。SNSは、あくまで良い商品をより多くの人の目に触れさせ、拡散させるための手段でしかありません。
ところが、いつの間にか商いのためにSNSを使うこと自体が目的化している人が少なくありません。
インターネットの普及により、世の中は本当に便利になりました。今では自宅から一歩も出なくても、日常生活に必要なほとんどのサービスが受けられます。スマホ一つあれば、たいていのことが完結する時代です。欲しいものの多くは、スマホから直接注文し、自宅まで届けてもらえます。
それはモノに限りません。映画やゲームといった娯楽も、Netflixのようなアプリを通じて自宅で楽しむことができます。
2021年には、インターネット広告費がテレビをはじめとするマス媒体のそれを超えました。この流れは今後も加速していくでしょう。
モノを買う場面も変化しています。手元のデータによれば、テレビよりもスマホを見ている時間の方が圧倒的に長くなってきています。そしてそのうちの約70%がSNSの利用に充てられているそうです。SNS上の口コミや広告で気になった商品は、すぐに購入可能です。もはやリアル店舗にわざわざ出向く必要がないのです。その結果として、リアル店舗への訪問頻度や滞在時間は今後ますます減少していくと考えられます。
たとえば、大型家電量販店に足を運んでも、店員に商品の説明を受けるまでもなく、商品のレビューや評価はすでにスマホで確認可能です。SNSやECサイトで検索をかければ、山のようなレビューが表示されます。店員1人(あるいは知り合い数人)の意見よりも、膨大なユーザーのリアルな声の方が信頼できると感じるのも無理はありません。今や、店員よりもお客様のほうが商品知識を持っているというケースすら珍しくないのです。
その上で、スマホ上で十分に比較検討を行い、「ポチっておしまい」。商品によっては、最終的な購入だけリアル店舗で行う場合もあるかもしれませんが、その際も陳列棚を眺めて悩むということは少なくなっているはずです。目的の売り場に直行し、レジに向かうだけ。購入の意思決定はすでにSNS上で済んでいるのです。
繰り返しになりますが、ユーザーにとって価値のある商品だけが売れていきます。当たり前の話ですが、そもそも売る商品自体が良くなければ、売れるわけがありません。
もし価格に見合った価値を提供できていないのであれば、どれほどマーケティングを頑張っても、結果的には“お客様を騙している”ことになります。
SNSとは、口コミの連鎖です。良い商品でなければ、良い口コミは発生しません。そして良い口コミがなければ、拡散もされません。良い口コミは、原則として“良い商品”からしか生まれないのです。
莫大な広告予算や資本力に頼らずとも、ユーザー一人ひとりがマーケッターとなり、自然と宣伝してくれる。これこそが、本物の価値を持つ商品が勝ち残っていく理由です。
もし、「お客様にとって価値のあるモノ」を“本物”と定義するなら、本物だけが勝ち残れる、良い時代になったとも言えます。そう考えると、今後も良い商品やサービスだけが流通し、生活はますます豊かになっていくことでしょう。

参考文献:僕らはSNSでモノを買う