あなたの“日本”は、何歳の知識ですか?
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自国のことを、私たちはどれほど知っているでしょうか。都道府県の県庁所在地をすべて言えるでしょうか。あるいは、それぞれの地域の名産品を答えられるでしょうか。地元の名産品くらいなら分かる、という方もいるかもしれません。
しかし、そうした知識の多くは、小学校で覚えたまま更新されていないケースもあるのではないでしょうか。気候の変化や産業構造の変動によって、かつての名産品が今でも名産であるとは限りません。それでも、昔仕入れた知識をそのまま使い続けている――そんな人が、意外と多いのではと感じています。あくまで肌感覚ですが。
10歳前後、小学4年生くらいの時期に覚えた知識を、大人になってからもアップデートせずに使い続けている。そう考えると、少しだけ背筋が伸びる気もします。
運転免許ですら3年や5年ごとに更新が必要です。それに比べて、義務教育で得た社会科の知識を何十年もそのままにしておくのは、さすがに情報の老朽化が過ぎると言わざるを得ません。今の世の中の変化のスピードを考えれば、10年も経てばかつて学んだ内容の多くは通用しなくなっていても不思議ではありません。
最近、大人向けに書かれた「社会科で習ったことがある」内容の本を読んでみて、私自身、驚くほど多くの変化に気づかされました。そうした本には、知識を補完する役割もあり、今からでも遅くはないと実感します。むしろ、今だからこそ理解が深まることも多いのです。
試しに、小学生向けの本を読んでみるのもおすすめです。解説が丁寧で、驚くほど読みやすく仕上がっているものが多くあります。そして、ある程度の社会経験を積んだ今だからこそ、「あ、これはあの知識とつながっている」と気づく瞬間にも出会えます。正直に言うと、こんな基本的なことを知らなかったのか…と驚かされることもしばしばです。
たとえば、ニュースをひとつ見るにしても、前提となる基礎知識があるかないかで、得られる情報の深さがまったく異なります。土台のないところに情報を載せても、定着しないばかりか、時間の浪費にもつながりかねません。これは実地研修にも通じる話です。座学なしで現場に出ても、単なる作業に終わってしまうのがオチです。
私のように出張で全国を飛び回るような仕事をしていると、各地で得られる気づきは非常に貴重です。ただ、それも基礎知識があってこそ、意味のある学びとなります。年齢に関係なく、子ども向けの本であっても、一度は手に取ってみる価値があると感じています。今さらこんなこと、他人には聞けない…という内容も、実はそこにこそ重要な知識のヒントが詰まっているものです。
知識の再構築は、いつから始めても遅くはありません。自分の日本が10歳のままで止まっていないか、時には確かめてみるのも悪くないかもしれません。