名奉行、大岡忠相:江戸の改革者から学ぶこと

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厳しい現代社会において、過去の偉人の話が励ましになることもあります。例えば江戸時代に活躍した、大岡忠相という人物をご存じでしょうか。

巷ではテレビドラマでお馴染みの名前と言われているそうですが、普段テレビを見ない私にはいまいちピンときません。試しに「大岡忠相」でググってみると、なるほどNHKをはじめ、いくつものテレビドラマで取り上げられていたようです。

大岡忠相とは、江戸時代、第8代将軍徳川吉宗のときに江戸町奉行として仕え、享保の改革を支えた立役者です。江戸町奉行とは今でいう東京都知事、警視総監、消防総監、東京地方裁判所の所長などの重要ポストが合わさった役職です。要は幕府における超重要人物ということです。

改革を進めるにあたって、いくつものハードル(壁)が出てきます。しかし、彼は持ち前の人心掌握術や物事を公平に見る慧眼で、これらを解決していきます。曰く「天下が改革を推進するのには、三つの壁に挑戦しなければならない」というものがあります。

・モノの壁(物理的な壁)
・しくみの壁(制度的な壁)
・こころの壁(意識の壁)

中でも、最も変えにくいのが「こころの壁」です。固定観念にとらわれた官僚制の中で、味方だった老中・水野忠之を失いつつも、派閥争いを切り抜けていきます。当初は敵だと思っていた老中たちも、実は大岡忠相のために吉宗将軍に働きかけてくれていたことなど、多くの人が尊敬するような人柄を彼は持っていました。

仕事が思うように進まないとき、納期まであまり時間がないのに、更に追い打ちをかけるように理不尽なことに遭遇することもあるでしょう。焦って我武者羅に動き回るのではなく、大岡奉行(過去の偉人)ならどう対応するか一度立ち止まって考えてみると解決策が浮かぶこともあります。どんな不利な状況であっても忘れてはならないのは、大岡奉行の精神だと思います。まず自分自身の「こころの壁」を壊すことから始めてみてはどうでしょうか。

余談ですが、参考文献「大岡忠相 江戸の改革力 吉宗とその時代」に出てくる、大岡奉行と水野老中との船釣りの情景で、その人間関係に対して感慨深い気持ちになります。

参考文献:大岡忠相 江戸の改革力 吉宗とその時代