危機を乗り越えての学び

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この度も、ある小説の紹介です。先にネタバレが含まれることを断っておきます。

テーマはウィルスに関連しています。特に、最近世界を震撼させた新型コロナウィルスの出来事は、現実と小説の世界の間に不思議な親近感を生み出しています。また、この小説は風邪ウィルスを取り上げており、それを現実世界と対比して読むことができます。

小説では、単なる風邪が世界を滅ぼす恐怖が、人間心理を通して詳細に描かれています。初めは些細な風邪と思われていたものが、次第に重大な危機へと変わっていきます。風邪ウィルスの陰に隠れた未知のウィルスにより、地球上のほぼ全ての人類が死滅し、南極大陸で生き残ったわずか1万人が人類の存続の責任を背負います。地球の46億年の歴史の中で、多くの生物種が出現し消滅してきましたが、人類の歴史はそれに比べると一瞬に過ぎません。この短い期間においても、人類は完全な意思統一を達成せず、国家間や種族間の争いは絶えませんでした。

しかし、南極に残された人々は、国籍や宗教、民族といった枠組みを超えて、「南極人」として、種の存続と繁栄のために協力し合います。新型コロナウィルスが猛威を振るっていた時、その結末は誰にも分からなかったと思います。今回の危機はようやく終息してきましたが、その終わり方が重要です。さらなる困難が訪れた時、私たちは利己的な種として歴史の彼方へ消え去るのか、それとも利他的に人類全体として内面的な意識の統一を達成して乗り越えるのか、それは現代の私たちに委ねられています。過去にも危機はありましたし、将来も起こり得ます。重要なのは、その危機を経験した後、どのように総括し、学びを得て前に進むかです。

この小説からは、集団としての力と生存への執念が感じられます。2020年代という現代の状況と小説の設定が近く、共感を呼び起こし、深く考えさせられる作品でした。困難に直面した時、それを乗り越えようとする強い意志が新たな道を開くと言えるのではないでしょうか。

参考文献:復活の日