前に倣うな──安定の代償
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以前にも『情報化時代の生存戦略』で紹介しましたが、作られた当初の法制度が現状にそぐわなくなり、その歪みから生じる隙間に「黄金の羽」(利益?)が落ちている、という話です。この歪みは政府にとっても痛いポイントであり、その埋め合わせは、知らぬ間に国民に負担させられています。普段の生活では絶対に気づかないようになっており、専門的な知識を持つ人でさえ理解できないほど複雑で入り組んだ仕組みになっているのです。
この埋め合わせを担わされているのは、いわゆるサラリーマンです。手元の資料によると、2017年時点で日本の全就業者に占めるサラリーマンの割合は89%となっています。
ほとんどの人は、何の疑いもなく、年度末に学校を卒業した翌月の4月から企業や組織に雇用されて働き始めます。有難いことに、給料は決まった日に指定の銀行口座に振り込まれます。職種にもよりますが、仕事の出来不出来に関わらず、決まった額が毎月入ってきます。しかし、経営者やフリーランスには、こうした「決まった日に定額の収入がある」という仕組みはありません。サラリーマンとはなんと恵まれた職業なのでしょうか。
しかし、その恵まれた待遇と引き換えに、犠牲にしているものもあります。前述の通り、法制度の歪みの負担の矛先はサラリーマンに向けられています。給料から天引きされる形で、自動的にこの歪みの差分を負担させられているのです。つまり、給料という安定と引き換えに、何かを差し出しているということになります。
労働力全体の中で最も大きな割合を占め、かつ最も取りやすい層から歪みの補填を取るのは、当然の流れでしょう。日本人は、就業年齢に達すると当たり前のように組織に雇用されるよう洗脳されているとも言えます。小学校時代から、クラス単位や学校単位での集団行動の中で、「前へ倣え(ならえ)」という号令を飛ばされてきました。さらに、中学までは義務教育。つまり学校という場で、全国民に対する刷り込みが行われているのです。
こうして、できるだけ深く考えず、大きな組織に属することが安心だと感じるように訓練されています。しかし、本当にそれで良いのでしょうか。一度立ち止まって考えてみてほしいのです。他人がどうするかは関係ありません。大切なのは自分の頭で考え、最善の行動を取ることです。周囲に倣ってばかりでは、一生搾取され続け、短い人生を終えてしまうことになります。前に倣っている場合ではないのです。
自立のための一つの方法として法人を持つという選択肢があります。法人は、文字通り「人」として扱われ、一人の人格を持つものと見なされます。個人と法人では、それぞれ異なる優遇措置があります。先ほど述べたように、現行の法体系には歪みが存在します。この歪みを、個人と法人という2つの人格を持つことで有利に活用しようというわけです。
簡単に言えば、法人と個人、それぞれのメリットを最大限に享受し、逆に不都合な部分は相殺するという考え方です。2つの人格を持つという特権を、戦略的に活用することが、自立の鍵となります。
「言われた通りにする」「みんながそうしているから」「とりあえず前に倣っておく」こうした考え方では、奪われ続けるだけです。
組織に属していると安全だという意見もありますが、果たして本当にそうでしょうか?この問いに対しても、他人の意見を鵜呑みにするのではなく、自分で考えて導き出した答えこそが、あなたにとっての正解なのかもしれません。しかし、それが「ただ前に倣っただけの答え」であれば、それは本当に正しいのでしょうか?
以前紹介したように、人に雇われるよりも、仕事を作り出すことこそが、自立した生き方の一つです。もちろん、挑戦にはリスクが伴います。しかし、他人にすべてを委ねて生きることも、実は大きなリスクなのです。いざというときに頼れるのは、結局自分しかいないのですから。
だからこそ、自ら仕事を作り出せるように、自立することが重要です。人に倣うことに、果たしてどれだけの価値があるのか。ぜひ、一度考えてみてください。
