人の不合理性

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前回の記事でも紹介させていただいた行動経済学についての話です。
私たち人間は、常に合理的に行動するわけではありません。感情やその場の環境に大きく影響を受け、エコンではなくヒューマンとして振る舞うことがあるという話をしました。

人がSNSやブログに考えを綴るのも、そういう(綴った内容のような)人間に見られたいという感情があるからです。これは独自性欲求の強い人間に現れやすい兆候のようです。世間からの評判という効用を手にするために、時には個人の効用も犠牲にすると言われています。経済活動においては、合理性だけではなく心理性から受ける影響も大きいことを示しています。

人には社会規範と市場規範という2つの異なる規範が存在します。
イスラエルの託児所の例を紹介します。その託児所では、子どもの迎えに遅れる親たちに困っていたようです。遅刻を無くすため、迎えの遅れに対して罰金を科したのですが、これが逆効果となりました。遅刻した分をお金で支払うという考えが親たちの間に浸透し、かえって遅刻が増える結果になったそうです。
罰金がないときは、遅れることに対して罪悪感を感じ、社会的な行動規範に従っていましたが、罰金を科すことにより、市場規範が前面に出て、親たちが遅刻のペナルティとしてお金を支払うという考え方になってしまったという例です。

日本においては、数年前からレジ袋の有料化が行われました。限られた資源を有効活用しようと、人の持つ社会規範に働きかけた施策です。環境省のデータによるとレジ袋の国内流通量は減ったので、施策は有効に機能したように見えます。
一方で、レジ袋と似た取っ手付きのポリ袋の消費量は増えたそうです。もらえないなら買えばいいという市場規範に移行したと見ることができます。結果、プラスチックごみそのものが減ったとは簡単に言えないようです。無料でもらえていたレジ袋は捨てるのではなく、ゴミ袋として再利用されていたということです。

私たちの行動は、感情、相対性、社会性に大きな影響を受けます。独自判断で行動しているように思えることもありますが、それは過大評価です。人から見られたい姿や規範に沿って動いています。不合理な行動も起こり得ると考えることで、世の中の見え方も変わるのではないでしょうか。

参考文献:予想どおりに不合理